議会広報広聴

伝わる議会報づくり

伝わる議会報づくり

議会報づくりの現状

現在、 ほとんどの地方議会にあっては、広報委員会や広報広聴委員会といった委員会を設置して、その委員が中心となって議会報を制作しています。ただし、その制作のプロセスは町村議会と市議会とでは大きく異なるようです。町村議会では、議員自らが企画から編集まで行っている議会が少なくありません。市議会においては、規模が大きくなるほど議会事務局が中心になって制作していることが多いようです。市議会であっても規模の比較的に小さい議会は町村議会と同様に議員が作業を行っています。

議員または議会事務局のいずれが担当する場合であっても、これまでの「議会報の伝統」や「地域の独自性」などを考慮しながら、”読者に伝わる議会報”を目指していることは間違いないと思います。

画像 議会報づくりの考慮点
議会報づくりの考慮点

伝わる議会報をつくるために

議会報はなぜ「伝わらない」といわれるのでしょうか?

一番大きな問題は読者である地域住民の多くが議会に関心がないということでしょう。議会に興味関心がない人や議会に批判的な人に対して議会のことを伝えることは非常に難しい問題です。

市販の雑誌であれば、基本的に興味がある人しか購入しません。また、購入せずに読めるフリーペーパーは、割引券がついていたり、地域に密着したお得な情報が掲載されていることから、読むモチベーションは高くなっていると思います。議会報と行政広報紙は、いずれも閲読率が低下しているといわれますが、まだまだ重要な媒体です。

では、”読者に伝わる議会報”をつくるためには何が必要なのでしょうか?

個人的には、読者の負担を下げることだと思います。下の図で示す議会報づくりのフレームワークのなかで、PDCA(Plan-Do-Check-Action)をまわすことによって継続的な改善(=読者の負担を下げるための工夫)を実践していくことだと思います。

議会報づくりのフレームワーク

PDCAサイクルを回す

PDCAを回すためには、どうすればよいのでしょうか?

議会報を制作している議会であれば、下図にあるように「PLAN」「DO」のフェーズまではおこなっているはずです。問題は「DO」のフェーズでとまってしまうことです。
「DO」から「CHECK」のフェーズに進むためには、議会報に対する何らかの”評価”を受けることが必要です。読者評価、専門家評価、自己評価などが考えられます。最近は、議会報モニターを募集して、継続的に読者評価をうけている議会も多くなってきました。ときには、専門家からの評価も参考になると思います。評価基準があれば自己評価も可能だと思います。議会報(成果物)に対する意見や批判は必ず改善の役に立ちます。

画像 議会報づくりのマネジメントサイクル
議会報づくりのマネジメントサイクル(PDCA)
  • 読者評価(読者アンケートや読者インタビューなどによる評価)
  • 専門家評価(専門的な知見からの評価、広報紙クリニック)
  • 自己評価(制作主体が自ら行う評価)
  • 優秀誌評価

これらの評価によって明らかになった問題点をすべて修正していくことは難しいし、その必要もありません。指摘された問題点を取捨選択しながら修正すべき”課題”としてとらえ、改善を進めていきます。その選択の基準となるものが、いわゆる「編集方針」です。

編集方針は策定したほうがいいのか

個人的には、編集方針を策定したほうがよいと思います。

編集方針は、議会報を作成する際に従う理念や具体的な編集技術などを定めたものです。編集における理念の部分は「条例」「要綱」「要領」で定めて、具体的に適用する編集技術やルールは「手引き」「マニュアル」として定めればよいでしょう。 多くの議会基本条例には広報広聴の理念が記述されていると思います。

編集方針の意義

議会報を担当する議員または職員は、視察や研修、自主研究など様々な場で企画づくりや編集技術を学んでいます。ただ、そのような場で学んだことをすべて、自分たちの広報紙づくりに活用することはできません。そこでは必然的に取捨選択することになります。この取捨選択の基準となるものが編集方針です。

編集方針には以下の二つの意義があります。

  1. 目標とする議会報・ブレない議会報をつくる
    編集方針があることによって、目標とする議会報が共有され、ブレない議会報につながります。また継続的改善により一定の品質が確保されることになります。
    一定の理念やルールに従って議会報を作成することにより、広報広聴委員会の委員に変更があったとしても、広報紙の品質が大きく変化することはないでしょう。委員の交代時においても引継ぎがよりスムーズに行われることが期待されます。ルールが見える化されているのであれば、新しい委員は最低限読むことはできます。
  2. 分析・評価の枠組み
    編集方針は議会報づくりの枠組みであると同時に、評価の枠組みにも活用することができます。自己評価の際に活用できるのみならず、優秀誌といわれる議会報を評価する枠組みとしても活用できます。つまり、 議会報の理念とルールが明確になっていれば 、自分たちの議会報と優秀誌とを同じ基準で評価することができるということです。編集方針に照らし合わせてみれば、優秀誌のどこが優れているのか、自分たちの議会報との違いを明確にすることが可能になります。

町村議会広報全国コンクールの審査方針は参考にしたい

議会が編集方針を策定するにあたって参考となるのが「町村議会広報全国コンクール審査会」が公表している『審査方針』です。この審査方針は、全国町村議会議長会ウェブサイトにて公開されています。

この審査方針では、「町村議会広報全国コンクールの審査にあたっては、応募作品たる議会広報紙が、住⺠の⽴場に⽴って編集されていることを審査基準の第⼀義とし、下記に掲げる「5つの指針」に従って、個々の編集技術について審査を⾏うこととする。」とされ、具体的な評価基準が示されています。 たとえば、「編集・デザイン」の項目では以下のように定められていますので、具体的なルールを作成するときには活用することができます。

  • 読みやすい紙⾯レイアウト(⽂字サイズ、⽂字間、⾏間、段組、⾒出し、リード、写真)になっているか。
  • 図表やグラフなどを⽤いて、わかりやすい記事に仕上げているか。
  • 記事と写真(イラスト⼜は図表)、写真とキャプションの関係は的確か。
  • 字体、⾊使い、視覚的効果のバランスが優れているか。

広報広聴に関連する研修講師をお受けしています

  • 自治体の職員および自治体議会議員を対象にした広報広聴に関する研修を行っています。研修内容および料金についてはこちらをご覧ください。
  • 自治体職員としての実務経験アカデミックな視点をまじえた研修を心がけています。


-議会広報広聴

© 2020 広報広聴の研究と職員・議員研修 Powered by AFFINGER5